近所の畑をぼーっと見ていたら首の無い猫の死体を見つけた。
草刈りついでに首も狩られたらしい。
しゃがんで木の枝でつついていたら後ろから声をかけられた。
「貴方、なんでそれを猫だと思ったの?」
なんでってそりゃ……「形から想像しただけでしょ?」
心を読まれた。と、一瞬思ったが普通みんなそうだろうとも思った。
「じゃあ逆に聞くが他に何の可能性があるんだよ」
いじけたように死体をつつきながら聞いてみた。
「可能性だけなら、なんだってあるわ」
「なんでもねぇ」
立ち上がる。枝を投げてカメラを肩に掛け直す。
「じゃあ実はあれ、君なのかもな」
振り返ると首の無いゴスロリが立っていた。
「あら、知ってたの?」
「あんたが僕に話し掛けるのは用事がある時だけだからな」
首から上がないから美少女に見える。
「しかし人じゃないとは思っていたが化け猫だったのか」
「化け猫じゃないわ。猫に化けてたのよ」
ゴスロリがやれやれといったポーズをした。そして高圧的に僕を指差す。
「首を探して。暇でしょ?」
「首無くても見えてて喋れてるんなら別に良いんじゃないすかね」
「良いわけ無いじゃない」
そのまま指で頬を刺された。
「その方が可愛いよ」
「貴方の特殊な性癖に合わせるメリットが無いわ」
せやな。
でも、そんなこといったら最近なんにも世話にもなってないし返すような恩とかねぇんだよな。
「最近、楽しいでしょう?」
「目が無いのによく分かったな。後輩が出来たんだよ」
「どんじゃらのオールマイティみたいな子で良いでしょう?」
「流石よく知っておいでで」
「あの子が鍵を見つけた場所って野良猫の首なのよ」
あぁ、なる。
「じゃあ後はよろしく、見つけたら部屋まで持ってきて。」
この後、人の畑を数時間荒らした末に猫の首持って歩いてる僕が職質を華麗に三回以下に抑えた話はまた今度。
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